そこまでして、わが血筋を遺したいか…この問題に関する率直な感想…今も同じく。

その子は、その遺伝子情報の(ミトコンドリア以外と思うが)全ての情報の主を 『親』と考えるべきなのか、その親の親が『親』と考えるべきなのか…そういう混乱を強いられ、成長段階で覚える不具合…それだけでも困難の出発。事実を隠し通すのでしょうか…あまりにも似てしまうから、隠し通せないでしょうね。

 養子を育てるコトに価値が見出せない人々に、果たして、そこまで無理に親となれるのだろうか?

 親の『意思』だけで生まれたというのは、意思を強いられるコトの極致であろう。それは、モノ扱い。わが遺産というモノを継がせるモノという意識。養殖されたヒトという位置づけ。両親の愛のイトナミ無しに生まれたという事実は、親子という既成概念が無効と化すコトで、その辺り、考察されましたか?それとも「モルモットだ」と割り切っていらっしゃるのですか?

 シミュれば、私は、分身に対して『よかれ』と信じて、我が経験則から、ベストの在り方を…強いないまでも、示唆を与えようとするでしょう。まるで、幸せに導く天使のように…が、それでは生き甲斐は無い。そして、己と、よく似た絶対者が愚劣だったりしたら…悲劇で終わるでしょう。

「クローン人間をセックス人間とは特別に違うものだというno-muさんの差別的考えこそが危険なのです」という貴方の、シンプルな結論に対しては、首を傾げるばかりですよ。他の全ての人が有する世界観に代わる理念を、どうするのですか?出任せに誤魔化して育てますか?

 和の精神…これは自然との調和の在り方がベースとなっています。それも、四季の移ろう繊細な、それだけでも息をのむほど美しい風土…だからこそ、和歌が生まれ、枕草子、源氏物語…と、最高等の文学も生まれた。それを知りながら、実相…時・空の定めた在り方を否まれるとは…

「宗教の押し付けだから、それは他の人々の自由を否定する行為」は、親の、分身に対する意思の強制と何が違うのでしょうか?クローン自身の感じたのが全て、違いますか?

 そして、要は『コンセンサス』とやらでしょうが…それは多くの悲劇を内包します。その都度、人類は『ダメージ』を受け、こんなのが本性なら地表から消え去った方が良い…と思う者が増えるだろう。私自身、現・人類が、この星に相応しいのか…時折、自信が無くなります。

 それから、「想像上の因果関係でもって…(略)…決してなすべきではありません」と仰る方の、その同じ口から出たとは…貴サイトは、ドナタかとの「共作」でしょうか?

 親の責任問題も無いとのコト…少し穿ってみれば…絶対的な「親権」を欲していらっしゃるように私は感じています。それって、一昔前までの「タルベキ・儒教教育」ではありませんか?儒教も、当世風に発展するしかないのです。男・女・子供…その全てを包み摂ったヒトとしての在るべき姿。家庭人、社会人、人類としての存在理由の全てを包み摂ったヒトとしての在るべき姿。時代は、すでに、それを要求していると思いますが、如何でしょうか?

 さらに、自由意思とか、親権とか、拡大解釈では?と訝っていますよ。ムキになっていませんか…個別の自由意思であろうと、全滅という選択肢も入っているのですよ…全滅したくないであろう大多数は自ずと一致団結し、そういう危険因子を排除しようとするでしょう。

 少なくとも人間の「生・老・病・死」の生・死は、ウカツに判断を下すべきではない。議論が煮詰まれば、それは選択肢から取り除かれる…と信じています。旧守派、保守派でも、どんな汚名に甘んじてもかまわない…棚上げしといた方が宜しい。

 神・仏が受け容れるか、否か…それは、ヒトエに、その分身の『しあわせ』に掛かっているのだけは事実。そういう子が生まれてしまったのなら暖かく見守ってあげるだろうが、世間は「あっ、クローンがヒトを殴った」とか「クローンが唾を吐いた」とか「クローンがサボってる」とか、意識せざるを得ない…こんな重圧、私なら真っ平です。セックスで生まれたんじゃないから、キリストと同格だ…なんて、お目出度い子ばかりじゃない。

 この一連の文章中、クローン人間に関する御説が最後の拝読でしたので…この「メール」を出すまいか…と考えはじめています。本音を言えば、「罵倒」したいくらいに…が、多分、もう一人の「和」を重んじていらっしゃる方に向けて、これを送るでしょう。

 私には理解に致しかねる、このサイトのトータル・イメージの調和を破っている、この問題で、貴方が、どう反論されるか興味が有ります。私にだって、自力本願的に、西洋合理主義で全て解決できる…なんて本気で考えた時期が有りました…けれど、十代後半には、その考え方はグラついて、貴方と似たよな『和』に集えないかと考えつヾけてきたのです。それが観えもしないで、ヒトの自覚の根幹を揺るがしかねないコトを容認するなんて…考えもしなかった。

 直観を軽んじるのは、西洋合理主義が正しいという狂信と同類…コトノハの内、必要充分な語彙が揃ったとしましょうか…もし、その語彙タチが自ら生きはじめたら…人類史を辿り直せると思いませんか?単体近似とか言うのでしたっけ…そういう方法論で、絶対者が証明できるとか、その代役を演じうるとか…児戯に熱中している御時世、それで全滅するなら、所詮、その程度の存在だったのだ…と、悲劇の序を受け容れるしかないのでしょうか?

 さて…「裁く」から「導く」…と、くどくど申し上げましたが、貴方の知能水準からして、「だったら誰が導けるんだ。誰に、その資格が有るんだい」と言われそうですね。それは、皆で考えましょう。何れにしろ、そういう指導要綱が出来るには、一般的モデル・ライフのようなのがボトム・アップ的に観えてきて、下々が、賢く生きるタメ、それを採用し、定着するというプロセスを経るのでしょうね。

 人間のリーダーなんぞに、神・仏の代役なんざ、出来っこない。越権。一人の『おもいつき』で、何億、何十億が迷惑するのです…しかも、そういうのを選んだというコトで、共犯させられているのです。「そんな奴と思わなかった」と言い逃れるコトは出来ないのです。

 長いメールになりましたが、1対不特定多数…削除なさっても文句は言いません。この文章を書いた…という事実が在るのだから、それが全て。これでも…書きたい、申し上げたいコトの半分程度。

 情報には、それ自体、固有の《振動数》が内在している…と、私は考えているヒトです。そんな実証も出来ないコトを言うな!と思われるでしょうか?

 わが49年間を追憶すれば、幸せな半生だったと感じます。もし…母親に捨てられていたら…父親からの虐待を受けていたら…と、シミュれば、とんでもない極悪人に成っていたろう…なんて思います。少なくとも、幸せな人々を羨み、その家庭を壊したいという衝動に打ち克てたか、否か…自信は有りません。こういう直観に頼るのって、お好きじゃないんでしょうね。

 佐倉サンほど、知識が多くないので、とんでもない知ったかぶりも少なくなかったでしょうけど、それに増して、無視できない内容も少なくない…と自認(⌒◇⌒)しています。

 これから、貴方の「空」に関する御説を勉強させてもらいます…チンケなカルトが蔓延する不毛な世に在って、オアシスに辿り着けたみたく、楽しい経験でした、感謝を申し上げます。

御身、お大切に…では、また。

(なおEntropy_Zeroさんからのお便りのイジメに関する部分はこちらに載せました。-- 佐倉)

「クローン人間をセックス人間とは特別に違うものだというno-muさんの差別的考えこそが危険なのです」という貴方の、シンプルな結論に対しては、首を傾げるばかりですよ。

偏見の深さを示しています。ほんの少し前まで、良識ある人たちでさえ、黒人や女性が白人や男性と同じ権利をもつという考えに対して、同じように、「首を傾げるばかり」だったのです。しかし、偏見がなければ、何のこともありません。偏見がなければこれほど「シンプルな結論」はありません。

今となっては、どうして黒人や女性が白人や男性と同じ権利を持つことを許されなかったのか、実感することは難しいのですが、黒人や女性に対するかつての偏見がどのようなものであったか、すこし振り返ってみましょう。黒人や女性に対する偏見者たちは当時の社会では<立派な人々>と考えられており、差別しているという自覚をもたず、自分たちは正しいことをしていると思い込んでいたものです。あの米国の最高裁判所でさえもそうでした。かれらは、黒人や女性に同権をあたえることがいかに社会にとって危険であるかを語って、大衆や政治家の危機感をあおりました。

ですから、歴史を考えてみると、Entropy_Zeroさんのような良識ある人でさえ、自らの偏見に自覚がないとしても、不思議はありません。むしろ、良識あるゆえに、その自覚を困難にしているとも考えられます。良識ある人々は社会を支える健全な多数派ですが、時代を支配する価値観の呪縛から自由であるのはつねに危険な少数派だからです。