佐倉さん、こんにちわ。この前加筆の依頼をしてから、あまり日数がたっていませんが、また聖書の矛盾と思われる箇所を見附けましたので、メールします。この発見は「キリスト教の中の無神論(下)」295ページ エルンスト・ブロッホ著 法政大学出版局 1992年9月25日 第2刷発行を読んでいてなされたものです。  この本に次ぎのように書かれていました。これがヒントになりました。
 たしかに空虚な墓の物語や、その近くにいた白い衣を着たひとりの若者の物語がある(ルカおよびヨハネにおいては二人になっている)。
蛇足かもしれませんが、この本の訳者は竹内豊治/高尾利数さんです。

矛盾と思われる根拠は以下に書くように、4福音書の中でマタイとマルコが一人であるのに対し、ルカとヨハネでは二人となっているからです。 では、新共同訳と英訳(TEV)を書いてみます。

マタイ28:2
すると、大きな地震がおこった。主の天使が天から降って近寄り、石をわきへ転がし、その上に座ったのである。

Mt 28:2
Suddenly there was a violent earthquake,an angel of the Lord came down from heaven, rolled the stone away, and sat on it.

マルコ16:5
墓の中に入ると、白い長い衣を着た若者が右手に座っているのが見えたので婦人たちはひどく驚いた。

Mk16:5
So they entered the tomb, where they saw a young man sitting at the right, wearing a white robeーand they were alarmed.

以上が一人の場合で、次ぎが二人の場合です。
ルカ24:4
そのため途方に暮れていると、かがやく衣を着た二人の人がそばに現れた。

Lk24:4
They stood there puzzled about this, when suddenly two men in bright shining clothes stood by them.

ヨハネ20:12
イエスの遺体の置いてあった所に、白い衣を着た二人の天使が見えた。一人は頭の方に、もう一人は足の方に座っていた。

Jn 20:12
and saw two angeles there dressed in white sitting where body of Jesus had been,one at the head and the other at the feet.

以上英文(TEV,TODAY'S ENGLISH VERSION)の聖書を見てもらえば、マタイでは主の天使( an angele of the Lord)であり、マルコでは、白い長い衣を着た若者(a young man wearing a white robe)で、どちらも一人である のに対し、ルカは、かがやく衣を着た二人の人(two men in bright shining clothes)であり、ヨハネでは 白い衣を着た二人の天使(two angeles dressed in white)となっていることがわかります。 イエス様の葬られた墓にいた、あるいは近くいた人の数は矛盾していると思われます。(4福音書が全部同じ数で無い。)

以上、取り上げて戴ければ大変光栄です。

この矛盾は「復活(2)--- イエスの墓を見た女」において

[ルカ]によればイエスの復活を告知したのは、一人の「若者」でもなく、一人の天使でもなく、「輝く衣を着た二人の人」なのです。
というふうに、一応言及しています。

しかし、わたしは「復活(3)--- 女の報告と弟子たちの反応」を別に取り扱ったために、ヨハネの「二人の天使」への言及が「復活(2)」から脱落していたので、これをすこし書き改めて、「空虚な墓の近くにいた白い衣を着た若者の数の矛盾」をもっと明確にしました。