イエスは、三日三晩ヨナが大魚のなかにいたように、「人の子」(イエス)も三日三晩大地の中にいるだろう、と予言しましたが、その予言は外れました。イエスは、わずか一日半ほどで、墓から出てきてしまったのです。
イエスの予言
マタイによると、イエスは自分の死と復活について、ヨナの物語に言及しながら、殺されて復活するまで「大地の中にいる」期間は三日三晩であると、つぎのように予言しました。
マタイによる福音書 12:39-40
イエスはお答えになった。「よこしまで神に背いた時代の者たちはしるしを欲しがるが、預言者ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられない。つまり、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、大地の中にいることになる」。
イエスの死
イエスが処刑され、その遺体が墓の中に収められたのは「準備の日=安息日の前日」つまり金曜日の午後でした。
マルコによる福音書 15:33-47ところが、イエスは「週の初めの日」(安息日の次の日=日曜日)の「朝早く」に、さっさと墓から出てきてしまいます。復活物語です。
昼の十二時になると、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。三時にイエスは大声で叫ばれた。「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ。」これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。・・・イエスは大声を出して息を引き取られた。・・・既に夕方になった。その日は準備の日、すなわち安息日の前日であったので、アリマタヤ出身で身分の高い議員ヨセフが来て、勇気を出してピラトのところへ行き、イエスの遺体を渡してくれるように願い出た。・・・ヨセフは亜麻布を買い、イエスを十字架から下ろしてその布で巻き、岩を掘って作った墓の中に収め、墓の入り口には石を転がしておいた・・・。
マルコによる福音書 16:1-9このために、イエスが墓の中にいた期間はわずか一日半ほどでしかなかったことになります。
安息日が終わると、マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメは、イエスに油を塗りに行くために香料を買った。そして、週の初めの日の朝ごく早く、日が出るとすぐ墓に行った。・・・イエスは週の初めの日の朝早く、復活して、まずマグダラのマリアにご自身を現された。
「準備の日」(金曜日) | 「安息日」(土曜日) | 「週の初めの日」(日曜日) |
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3時に処刑され、後に墓に入れられる。 | 墓の中。 | 朝早く復活する。 |
こうして、「三日三晩」というイエスの予言は完全に外れてしまいます。そこで、もしこれらの福音書の記述がすべて正しいとすると、イエスは偽予言者であったことになってしまうので、イエスを偽予言者として認めないためには、どうしても福音書の記述が間違っていることを認めねばならなくなります。