イエスの最後(4)について。
イエスが処刑され、その遺体が墓の中に収められたのは「準備の日=安息日の前日」つまり金曜日の午後でした。「準備の日」とは 3月下旬から4月上旬に行われる「過ぎ越し祭り」の準備の日という意味で、「安息日の前日である」とか「金曜日である」とは断定できないと思います。マルコによる福音書 15:33-47(佐倉さんのコメント)昼の十二時になると、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。三時にイエスは大声で叫ばれた。「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ。」これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。・・・イエスは大声を出して息を引き取られた。・・・既に夕方になった。その日は準備の日、すなわち安息日の前日であったので、アリマタヤ出身で身分の高い議員ヨセフが来て、勇気を出してピラトのところへ行き、イエスの遺体を渡してくれるように願い出た。・・・ヨセフは亜麻布を買い、イエスを十字架から下ろしてその布で巻き、岩を掘って作った墓の中に収め、墓の入り口には石を転がしておいた・
というわけで、上記の私の意見に対するお返事いただければ幸いです。
(追記): 神の呼び名について「ヤハウェ(またはヤ−ウェ)」という呼び名は学者の間で使用されている呼び名で、文語訳では「エホバ」となります。それは共に 原語の「JHVH」からの日本語訳で、「神」「主」という意味なので参考になさってください。
1.「準備の日」と「安息日の前日」
「準備の日」とは 3月下旬から4月上旬に行われる「過ぎ越し祭り」の準備の日という意味で、「安息日の前日である」とか「金曜日である」とは断定できないと思います。なにを勘違いされているのか、わかりませんが、「準備の日」すなわち「安息日の前日」(金曜日)、と言っているのは、わたしの勝手な解釈ではなく、聖書がそのように記述しているのです。
その日は準備の日、すなわち安息日の前日であった。(マルコ15:42)その日は準備の日であり、安息日が始まろうとしていた。(ルカ23:54)
その日は準備の日で、翌日は特別の安息日であった・・・。(ヨハネ19:31)
2.「ヤハウェ」と「エホバ」
神の呼び名について「ヤハウェ(またはヤ−ウェ)」という呼び名は学者の間で使用されている呼び名で、文語訳では「エホバ」となります。それは共に 原語の「JHVH」からの日本語訳で、「神」「主」という意味なので参考になさってください。「ヤーウェ」(YAHWEH)とは聖書にでてくる神の名前で、エホバ(Jehovah)ともいう。神の名をみだりに呼んではならない、というユダヤ教の伝統にしたがって、現代語訳の聖書の多くは「主」(LORD)という言葉で置き換えています。古代の写本では、この神の名前は6000回以上使用されています。古代のへブル語文書は母音を使用しなかったので、神の名前の子音の四文字(YHWH)が書き留められていたのですが、あまりにも長い間、その言葉をユダヤ人は発音しなかったので、それがもともとどのように発音されていたかはユダヤ人のあいだでもわからなくなり、現在では確証できません。「ヤーウェ」(YAHWEH)という読み方は、古代ギリシャ語文献などの資料とへブル語文法の規則から導き出された、学術的推定です。
「エホバ」という読み方は中世末期のクリスチャンの誤解から生まれたものであり、歴史的にも文法的にも根拠がありません。ユダヤ人たちが、聖書写本に母音を書き記すようになったのは中世に入ってからですが、それがマソラ本と呼ばれる写本であり、現在のユダヤ人の聖書の基礎となっています。そこでは、古代の聖書写本に載っている神の名前を表す「YHWH」を、伝統的にユダヤ人たちが「アドナイ」(「わが主」)と読んでいたことから、「Y」と「H」と「W」と「H」の間に「アドナイ」の母音(e, o, a)を挿入してYEHOWAHと書き記し、これを読むときは「アドナイ」(「わが主」)と読んでいたのです。そういうユダヤ人たちの伝統を知らなかった中世末期のクリスチャン(例えば1518年、当時法王レオ10世の下で告白士をしていたペトルウス・ガラテウス)がYEHOWAHを神の名前であると思いこみ、「エホバ」(Jehovah)とそのまま音訳したことが原因となり、それ以後「エホバ」を神の名前であるとする誤解がキリスト教世界で広まり、現代にいたっているのです。
ところが、誤解から生まれた「エホバ」という誤った神の名前を大々的に宣伝してしまった「エホバの証人」という新興キリスト教団体は、引っ込みがつかなくなって、いまさらその呼び名を改めることができないわけです。
参考にして下さい。