聖書の間違い

天地創造物語の矛盾(四)

--- 地上植物と水中動物の出現時期の間違い---

佐倉 哲


聖書に書かれている天地創造物語を歴史的事実であると信じるクリスチャンの文献を見ると、しばしば、聖書に描かれている創造順序が現代の科学と一致している、と書かれています。しかし、聖書と現代科学の見解のあいだには数多くの矛盾がみられ、地上の植物の方が水中の動物より先に出現したという天地創造物語の記述も現代科学と矛盾することがらの一つです。



創世記では、陸上植物は第三日、水中動物は第五日にあらわれる

創世記によれば、創世の第三日目に地上に各種の植物が出現し、創世の第五日目になって水中の生物が出現したことになっています。(創世の第四日目には太陽と月と星がつくられたのでした。)

創世記 1:11-13
神は言われた。「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」そのようになった。地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。神はこれを見て、良しとされた。夕べがあり朝があった。第三の日である。

創世記 1:20-23
神は言われた。「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面を飛べ。」神は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。神はこれを見て、良しとされた。・・・夕べがあり朝があった。第五の日である。



現代の地質学・生物科学では、海の動物が地上の植物より先

ところが、現代の地質学・生物科学によれば、地上に植物(や動物)が出現するようになった時期は、海に動物(や植物)が出現する時期よりも、何億年も後のことです。

7億年前ごろ(先カンブリア紀)に初めて出現したエディアカラ動物群が、古生代に入ったばかりのこのころ(カンブリア紀)もっとも繁栄した。エディアカラ動物群とは、クラゲやウミエラなどの大型化した動物の一群で、硬い殻や骨格はなく、三葉虫や腕足類などのようなはっきりした硬組織をもつ動物の前段階をなすものである。・・・軟体部だけしか持っていないエディアカラ動物群は、化石として残りにくい。それらは、形の印象(型)だけが残る印象化石として、南オーストラリア・アフリカ・ウクライナ・北シベリアなど、ほとんどの大陸の先カンブリア時代末期以降の地層から発見されている。・・・

[5億7千年前ごろ]を境に、化石の量が急激に増えてくる。化石のほとんど見いだせないこれ以前(先カンブリア紀)を隠生累時代、これ以降(古生代以降)を顕生累時代と呼んでいる。化石が急増してきたのは、多細胞生物の急激な発展と、化石として残りやすい硬質部を持つ生物の大量出現のためである。・・・5億7千年前から5億年前までのあいだに、脊椎動物をのぞく、原生、海面、腔腸、軟体など、ほとんどすべての無脊椎動物が出現して[いる]。

(『日本全史』、講談社、16頁)

地質学者がカンブリア紀と呼ぶ時期の初期、つまり今から約5億9千万年前まで、生物は骨や硬い部分をもっていなかった。硬い部分は普通の組織よりも長く残る傾向があるので、それらは化石になりやすい。それで、カンブリア紀までの化石記録は貧弱で、その後豊富な化石が現れている。科学者たちはこの突然の化石の出現をカンブリア爆発としばしば呼んでいる。

カンブリア紀以前にも複雑な生物はあったが、化石の記録は非常にまれであったということが今日ではわかっている。クラゲのようなものでいっぱいの海を考えればよい。つまり、カンブリア紀に爆発的に増えたのは骨格[硬い部分]をもった生物の数なのである。

・・・5億9千万年前頃に海藻とか、・・・サンゴ虫のような、植物、動物の複雑な集合体が浅い海で発達してきた。その後も1億5千万年以上にわたって地球上のすべての生命は海の中にあり、地上は不毛の地であった

生物は約4億3千年前に陸上に移動した。まず、植物が上陸し、それから現在のサソリのような動物が上陸していった。このことは地質学者たちが、シルリア期と呼ぶ時期に起こった。

(ジェームス・トレフィル、『科学1001の常識』、美宅成樹訳)

このように、現代の科学と創世記の創造順序は、地上植物の出現時期と水中動物の出現時期に関して、あきらかに矛盾しています。

カンブリア紀あるいはそれ以前の水中動物を見たい方はコンピュター・グラフィックでの3D復元図「Cambrian Explosion」があります。 「化石オークション」では本物の化石を買うこともできます。